友人や同僚から「なんで、そんなにお見合いに精を出すの」とよく笑われた。“運命の人”と出会い、幸福な人生を送りたいというのが第1の理由だが、それと同じ程度で孤独への恐怖感があった。
中年以降も独身を続けていると、やがては親をなくし、家族がいなくなる。兄弟姉妹は皆、家庭をもつと、自分の家族の一員でなくなることも自明の理だ。誰もが“天涯孤独”になる。平日は会社で同僚と話をできるが、休日は話し相手すらいないケースも多い。これが続くと、正月や大型連休などの長期休暇は恐怖の対象になってくる。
生涯独身だった昭和を代表する大女優は鎌倉に豪邸を建てたが、長く寄り付かず、東京都内の高級ホテルに住み続けたという。ホテルのスタッフが温かく迎えてくれ、“擬似家族”の雰囲気を味わえるからだとか。富と名声を勝ち得た大女優でさえ、孤独が怖かったのだと思う。
家族とは世間の寒風から身を守る衣服みたいなものだと私は思う。それがなければ、まともに世間の冷たさを浴びてしまう。50代の独身の先輩が公園のホームレスを見て「“明日はわが身”かもしれないな」とつぶやいた。経済的なことだけを言っているのではないだろう。私は先輩がその時、孤独の中で誰にも看取られずに死を迎える自分の姿をイメージしたように思った。

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