お見合いの回数が多かったためか、色んな企業のOLとお見合いした。会社の内容をよく話してくれる女性も多かったから、新聞記者の稼業にも役立つことが多かった。
金融業界を担当していたころ、ある金融機関のOLとお見合いした。この女性は報道機関の窓口となる広報部の隣のセクションに勤務していた。経営情報にも触れる秘書などとは違って新聞のニュースになるような情報は得られなかったが、広報部の人たちと日常的に接しているから、広報部員たちの生活ぶりなどをよく話してくれた。
もっとも、「誰々は職場結婚です」とか「誰々は昔、職場のスキー大会で足の骨を折った」といった程度の話だが…。そんな話でも広報部の人に直接、「あなたは職場結婚だそうですね」とか「あなたはスキーで足を折ったことがあるそうですね」と話すと、相手は「さすが新聞記者は地獄耳ですね」と驚き、私への対応が違ってきた。
弁護士事務所に働いていた女性とお見合いした時に驚いたことがあった。そのころ、私は無免許運転の車に追突されてむち打ちになった。加害者や保険会社の対応が不誠実だと私が怒ったため、補償交渉がこじれ、保険会社の顧問弁護士が交渉相手になった。
お見合い相手は最近まで、その弁護士事務所に勤めていたのだ。女性は、その弁護士が私と同郷であることや、読書家で書棚のスペース確保のため読み終わった本を実家に送っていることなどを教えてくれた。
いずれも他愛もない話だが、親しい人でないと知らないことばかり。協議の場で私がぼつりと漏らすと、弁護士は「なんで、そんなことまで知ってるんですか」とびっくりしていた。
もちろん、そんなことで補償交渉を有利に導こうとは思わなかったが、案の定、交渉には全く影響せず、弁護士の圧倒的な法律的な知識の前ではいかんともしがたく、私は討ち死に同然に示談書にハンコを押した。
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