お見合いは初めて会う男女が結婚を想定しながら話をする機会である。普通の人なら誰でも緊張する。しかし、私は新聞記者という職業柄、経営者や政治家、警察官といった“アク”の強い人たちと会うことが多かったので、お見合いであがることはあまりなかった。
その一方で、私のお見合い相手が緊張しているのをいつも感じ、私はどうしたら緊張感を取ってあげられるかに苦心した。
ある女性はお見合いの最初から終わりまで視線をずっと下に落としたままで、私の方を見てくれなかった。私は外見に自信がないだけに、帰宅後、「私の顔はそれほど怖いのだろうか」とずっと鏡を眺めたことがあった。
今回はお見合いであがらないコツを伝授しよう。一言で言うと、お見合いの席では、相手のために自分が何をしてあげられるかに神経を集中するということだ。仲人さんなどがいたら、そういう人を含めて自分が何をできるかに注意を集めるということだ。
具体的に言うと、相手が何か質問したら、その真意を理解して的確に答えてあげるようにする。相手が会話に窮したら、こちらから話題を提供してあげる。エレベーターに乗ったら、ボタンを押してあげる。用事で相手の手がふさがっていたら、荷物をもってあげる。
こんな小さな「してあげる」を積み重ねれば、「してあげる」ことができた相手に対する優位性が自分の気持ちの中で生まれ、リラックスできる。相手や仲人さんに神経を集中することでお見合いの場の空気も読めるようにもなる。
これを続けていると、初対面の相手でも何を考えるのかが少しはわかるようになる。また、こちらがこういう気持ちでいれば、相手に対して何もしていなくても、こちらが相手に心を開いて応対しているように相手に映り、好印象をもってくれるケースが多い。
お見合いの席で緊張するのは「お見合い相手や仲人さんにどう見られるか」「お話にきちんと応対できるか」「何かで失敗しないか」などと心配するからである。つまり自分のことをできる限りよく見せたい、賢く見せたい、大きく見せたいという思いが働き、意識が「自分」から離れなくなる。
これが残っている限り、緊張感は取れない。それを払拭(ふっしょく)するために、相手に神経を集中せよというのがアドバイスの趣旨である。
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