最近のお見合いは仲人さんと本人同士の3人だけのケースが多いが、私の若いころは両方の家族を交えた出席者が多いお見合いも多かった。私はこれが苦手だった。大勢の視線と話題が私とお見合い相手に集中して、恥ずかしい気分になるからだ。そのうえ、相手の女性に気に入られなかったにもかかわらず、女性の家族に好かれてしまい、それで振り回されることもあった。
中学校の校長を父親にもつOLと家族を交えたお見合いをしたことがあった。独身者同士の出会いの場であるお見合いの席でも、年配の男性がいると、その場が年配男性の独演場になることはよくある。この父親も私が新聞記者ということもあって、私に向かって政治や経済、教育問題などを1人で話し続け、他の人たちはその話を聞くだけだった。
この父親は私に「君みたいな聞き上手で、素直な性格の婿(むこ)がほしかった」と話し、すっかり気にいってくれたようだった。新聞記者の職業柄、年配の人たちに接することも多く、どうすれば気に入ってもらえるかのノウハウや基本的な礼儀を身に付けていたことが役立った。しかし、当の娘の方には好かれなかった。
後日、聞いたところでは、娘は面食いで、「もっとスマートでかっこいい人がいい」と私との付き合いに難色を示したが、父親は「男は顔じゃない」と娘を強引に説得したらしい。
それでお付き合いがスタートしたものの、相手の女性が乗り気ではないだけに、デートがうまく進むはずがない。2回会って、女性からお断りの連絡が届いた。
これで終わったものと思っていたら、父親が私に電話をかけてきて「娘がわがままで申し訳ない。うちには下に妹がいて、妹は家庭的で、いい娘だからぜひ会ってくれ」と頼まれた。
姉妹の両方とお見合いしても絶対にうまくいくはずはないと思ったが、父親の熱心さにほだされて、妹と会った。しかし、この女性とデートしていても、2人とも姉とお見合いした経緯が気になってしまう。姉妹の仲もぎくしゃくし始めたようで、結局は妹からもお断りの返事をもらった。私には妹とお見合いすべきではなかったという苦い後悔が残っただけだった。
〈PR〉

コメント