「男は“狼”だから、気をつけなさい」と親から言われ続け、信じている女性も多い。お見合いやその後のデートでは、私はどこまでも紳士として振る舞い、お相手を淑女として接したつもりだ。それでも、大人の男女が2人きりでいる場面が多いわけだから、私の気配りの足りなさやちょっとしたことで、気まずい空気が流れ、女性から「この人、“狼”に変わる気ではないか」と不安がられる局面もあった。
大阪城に近いホテルの3階に私の好きなレストランがあった。内装は南国の雰囲気で統一され、トロピカルドリンクがおいしかった。ある大阪のOLとお見合いをした時、趣味や仕事の話で意気投合し、大いに盛り上がった。夕食の時間が終わっても名残り惜しく、このレストランに彼女をお連れしたのだが、これが失敗の始まりだった。
「ここのトロピカルドリンクがとてもおいしいですよ。ぜひ飲んでみてください」と勧めると、それまで笑顔を見せていた彼女の表情が険しくなった。メニューを見ながら「トロピカルドリンクはカクテルですよね。カクテルって飲み口のいいアルコールですよね」と彼女が話し始めた時、私は彼女が何を言おうとしているのか、わからなかった。
「お見合いで初対面の女性にカクテルを勧めるなんて、どうかしていると思います。私はソフトドリンクにします」とぴしゃりと言われて初めて、私が彼女を酔わせて“何か”しようとしているのではと彼女から疑われていることに気づいた。雰囲気が一気に悪くなり、2人とも口数が少なくなった。この後、彼女から仲人を通じて「お断り」の連絡が入った。
別の女性を2回目のデートで有馬温泉までドライブに誘った時も同じような失敗をした。有馬温泉の老舗ホテルの別棟に「わびさび」を感じさせる素敵な精進料理の店がある。
私はいい料理店を知っていることをアピールしようと、車でお連れした。料理店のスタッフに「料理代はホテルの温泉とのセットで5250円です」と説明され、「それじゃあ、精進料理を食べるだけではもったいないな」と思った。
彼女に「料理の前にお風呂に入りますか」と提案すると、彼女に戸惑いの表情が浮かんだ。私はここの温泉が男湯と女湯に分かれているから問題ないと安易に考えてしまったわけだが、彼女から「私は入りませんが、もしお入りになりたければ、どうぞ」と断られ、私は「しまった」と後悔した。
お見合いの後の2回目のデートで、きれいに化粧をした女性に「お風呂どうですか」という馬鹿はめったにいない。今考えても、恥ずかしくなる私のミスである。
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