「女性を知るには、彼女の母親を見よ」という教えは昔からよく言われており、今も通用する結婚の鉄則だと思う。母と娘は意外なほどよく似るからだ。それは性格や考え方にとどまらない。容貌も年をとれば、母親そっくりになることが多い。
お見合いした大阪のOLはきれいな女性だった。デートを重ねるようになり、彼女の自宅に招待された。彼女の母親は絵本に出てくる魔女のおばあさんのような顔にシワの多い女性だった。私は「彼女が母親似でなくて良かった」と思った。
やがて、彼女の子供時代の話になり、母親が昔のアルバムを取り出して見せてくれた。アルバムの写真には、彼女そっくりの女性と可愛い女の子が写っていた。その女性が彼女にとてもよく似ていたから、最初は「彼女が最近、親類の女の子と一緒に写真をとったのかな」と思ったほどだった。そうではなく、彼女と母親の昔の姿だとわかった瞬間、背中から汗が流れる思いがした。
母親も若いころは、今の彼女のように美しかったのだ。「ということであれば、彼女も年をとれば、母親のような容貌になる…」。私はお見合い相手の外見にこだわらない方だが、この時だけは唖然(あぜん)とした。
母と娘は生活習慣でもよく似ていることが多い。当の本人たちも気づいていない所で似ていて、興味深いケースもあった。別の機会にお見合いした女性の母親の話が印象に残っている。
「うちの娘は私と違って活発な性格です。学校を卒業すると、すぐに都会で1人暮らしを始めたので、私とは全く似てないと思っていました。彼女のアパートを訪ねて、ベランダを見た時、びっくりしました。洗濯物の干し方が私のやり方とそっくりだったのです。物干し竿でのつるし方、洗濯ばさみの使い方まで。血は争えないと思いました」
結婚前に女性の母親と十分にチェックしておかなければならない理由はそれだけではない。「嫁姑」の確執はよく話題になるが、実は夫と妻の母親の関係も「嫁姑」と同様に深刻化するケースが多いからだ。
男性にとって妻の父親とは結婚前にギクシャクすることもあっても、結婚して付き合いが長くなると、同性同士だけに気心が知れてくる。年齢が離れていても、お互いが「いいやつ」と認め合えば、仲の良い先輩と後輩のようになれるから、父親との付き合いは意外に楽だ。
しかし、母親は異性だけに、どう付き合えばいいかのきっかけすらつかめないケースも多い。また、最近の母親は年をとれば、息子の家庭でなく、娘の家庭に頼りたいと考える傾向が強くなっている。そうなれば当然、夫と妻の母親が接触する時間は長くなり、相性が悪いと、トラブルが発生する危険性が増す。結婚前から、母親と仲良くなれそうかどうかをチェックすべきだろう。
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