お見合いをする人の中には、異性を見る自分の目に自信がもてないため、お見合い相手を自分の友人に見せて、友人の評価を判断材料の1つにしようとする人がいる。しかし、これはお勧めできないし、やめたほうがいいと思う。お見合い相手にとっては、見知らぬ人の好奇の視線を受けるわけだから、決して愉快ではない。
お見合いした大阪のOLとの3回目のデートで待ち合わせ場所のホテルのロビーに行くと、彼女は別の女性と一緒に立っていた。彼女は「今まで友人のA子とショッピングをしていたんです。A子はこれから用事があるので、帰りますが、あなたをひと目見たいというから、連れてきました」と話す。
「はじめまして」と私がA子さんにあいさつすると、A子さんも同じようにお辞儀した後、私の顔を含み笑いをしながら見つめた。その後はA子さんと別れて、私たちはデートに出かけたが、私はA子さんの含み笑いの意味がわからず、私の目の中で含み笑いの光景が気持ちの悪い残像としてその日1日、浮かび続けた。
4回目のデートでは、彼女からA子さんの話が出てきた。彼女は「A子はあなたのことを『真面目そうで、いい人じゃない。そんなにマザコンには見えなかったよ』と話していました。あなたに対するA子の見立ての結果が悪くなくて、ほっとしました」と笑った。その後も彼女がA子さんの話をするので、勘の悪い私もようやくA子さんの含み笑いの意味がわかった。
私は彼女とお見合い相手として交際しているわけだから、これまでのデートの中で、私の経歴や家族構成、彼女が懸念すると思われる点などを含め包み隠さず話していた。彼女はその話をそっくりそのまま、A子さんに話していたようだ。A子さんのあの時の含み笑いは私に対して「あなたのことは何でも知ってるわよ」というシグナルだったのだろう。
気が長い私もさすがに、彼女に対して「なぜ、あなたは私のプライバシーを何でも友達に話すのですか」と問い詰めたい気分になった。しかし、知り合ったばかりのお見合い相手にはそんな強い口調では言えず、「あなたとA子さんとは何でも話せる仲なんですね」と水を向けると、彼女は「そうなんです」と相好を崩して話し出した。
彼女の話を聞いていると、彼女が私をA子さんに見せたのはA子さんの評価を聞きたいという理由だけではないことがわかってきた。これまでボーイフレンドがいなかった彼女はA子さんから彼氏の自慢話を一方的に聞かされていた。だから、やっとお見合いで交際する相手ができると、彼女は今までのお返しとばかりに、私の話をしたくなったということらしい。
結婚を決めるのは人生の一大事だから、多くの人に相談したい気持ちはわかるし、した方がいいとも思う。その場合、差しさわりのない範囲で相手のプライバシーまで踏み込んで話をしなければならない局面もあるだろう。しかし、そんな話を友人たちにしていることをお見合い相手に悟られてはいけない。誰でも自分のプライバシーについてお見合い相手がお見合い相手の家族に話すことは許せても、友人などの“不特定多数”の人に話すことには違和感を感じたり、許せない思いがするものだ。
私のケースのように、そんなことを話した友人とお見合い相手を会わせれば、ばれてしまうのは必定だ。結婚が決まった後なら、そんな話も笑い話で済ませられるかもしれないが、これから結婚の結論を出そうとする微妙な局面では、デリカシーのない人と判断されて断られる危険性をもっている。
私は後輩から「結婚を決めきれないので、相手に会ってくれませんか」と頼まれることがある。結婚や恋愛の相談なら乗るし、結婚が決まった相手とならお会いする。しかし、結婚について迷っている状況では、私が相手を“面接”することになりかねないので、お断りすることにしている。
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