女性との交際経験が少ない男性から「女性をどのようにリードしたらいいのかわからない」と相談されたら、私は「女性をリードしようという意識は捨ててください。職場の宴会の幹事の心構えで女性に接してください」とアドバイスすることにしている。
大抵の仲人さんはホテルのロビーでお見合いの男女を引き合わせたら、「それでは、お2人でお好きな所にお出かけください」と言って別れる。2人で喫茶店かレストランに入って話をすることになるのだが、その時、「私はよく知らないので…。どこに行けばいいでしょうか」と言って女性を頼りにする男性が意外に多い。
これを言ってしまえば、女性は戸惑う。男性に「優柔不断さ」を感じ、これだけで「お断り」の結論を出す女性もいる。ある結婚相談所が会員を対象に実施した「お見合いで嫌われるタイプ」についてのアンケート調査によると、「女性から嫌われる男性」の第1位は「お金に細かい人」で、「優柔不断な人」が第2位になっていた。
デートで女性をきちんとリードできなければ、女性からの評価が低くなるわけだが、女性をどのようにリードすべきかは意外に難しい課題だ。デートで女性に頼りきりになってはいけないが、反対に、「俺についてこい」式のリーダーを演じようとして、女性が望んでいないことを強引に進めても女性の不興を買いかねないからだ。大半の女性は男性に対して、リーダーになってグイグイと引っ張ってほしいなどと考えていない。
これはデートについてもそうだし、結婚後の家庭生活についても同様だ。大半の女性は男性に対し、自分の思いや考えを理解してくれて、それを実現させてくれる企画力と行動力を求めているように思う。つまり、女性をリードするのでなく、女性を立てて女性の世話をする心構えだ。一言で言えば、「おもてなし」の精神だが、この言葉だけでは抽象的すぎるので、具体例として宴会の幹事を挙げたわけだ。
私は結婚について相談に来る後輩たちに対しても「職場で歓送迎会や旅行などが行われる時、志願して幹事を務めてください。そこで培った経験とノウハウは女性との交際や結婚生活にも活用できます」とアドバイスしている。
幹事は多くのことに気を配らなくてならない。出席者たちの好みを十分に調べて店を決めなければいけない。職場から店までのアクセスや席順、あいさつの順番、メニューの決定、費用の把握なども神経を使う必要がある。宴会が始まれば、出席者のグラスの中味が空いたままになっていないか、料理が足りているかを常に目を配っておくのも役目だ。上司が宴会の途中で突然、「最後は●●君の1本締めだ」とスケジュールにないことを言い出しても、対応できる柔軟性も不可欠だ。
これらは全て、女性との交際で役立つことばかりだ。特に、私が幹事を通じて身に付けてほしいと思うのは調査力だ。宴会の幹事は出席者の食べ物の好みを十分に調べたり、出席者に好まれる店を探さなければならない。店を下見しておくのも必須の作業だ。
お見合いをした女性についても交際したいなら、会話を通じて女性の好みをさりげなく把握しておくことが重要だ。次のデートでは、女性の好みに合ったレストランを予約しておこう。インターネットの発達で店探しはそれほど難しくないと思う。
女性がそのレストランを気に入らないケースも想定して、次の候補となる店も調べておこう。せっかく予約したからといっても女性に“無理強い”するのは禁物だ。
行ったことのないレストランなら下見をしよう。適当な同伴者がおらず、1人でレストランに入りにくければ、店の前まで行ってアクセスや店の外観だけでも確認しよう。
私がこうアドバイスすると、「宴会の幹事は仕事だから下見もするけど、たかがデート場所を下見までする必要があるんですか」とたずねる後輩もいる。私は「人生のパートナーを見つけるということは大切なことです。デートについて『たかが』などと言わないでください」と注意することにしている。
幹事の経験を通じて身に付けてほしいもう1つのポイントは精神的な忍耐力だ。宴会の幹事を完璧に務めても、職場によっては口うるさい出席者から「料理がもうひとつだった」とか「会場が暗すぎた」などとクレームを受けることがある。
反省すべき点があれば、反省するのは当たり前だが、言いがかりとしか思えない苦情に対しては「それなら、あなたが幹事を務めてください」と言いたくなると思う。しかし、それを言ってしまえば、トラブルになり、それまでの努力は無駄になる。そんな時、「貴重なご意見をありがとうございました。次の会合の際の参考にさせていただきます」と言うだけの精神的な余裕があるタフな人物が名幹事だと私は思う。
お見合いでも同じだ。デートを完璧に演出したつもりでも、後でお断りの連絡をもらうこともある。「どうしてだ。ごちそうしたのに…。食い逃げだ」と怒りたくなるケースもある。しかし、断ってきたお見合い相手の1人ひとりに腹を立てていたら、身がもたない。断った相手に対して「大切な時間を私と過ごしてくれて、ありがたいことだ。いろいろとお話ができて有意義だった」と感謝するぐらいのタフさをもつべきだろう。
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